さて成年後見ですが、なんで弁護士や司法書士にお金を取られるんだ、というご家族のご不満を見聞きします。
でも、明日食べるものがない、明日引きこもりの息子と共倒れになる、というところを生活していけるように専門職後見人が立て直します。ぜんぶがぜんぶ、資産がたっぷりあり(だから気をもむことも大変なこともない)、たいしたことしなくても月5万円の報酬がもらえる、わけじゃないのです。
むしろ、リーガルサポートからの配転は、そんなおいしい案件はまず無くて、断りたいと悩むような案件ばかりです。
そんなお金が底をついた被後見人、被保佐人の周囲の人にまずお願いしたいのは早め早めに申し立てをしてほしいことですが、お金というものは、認知症にかかわらず、あってもなくても他人には隠したいもので、ヘルパーさんやケアマネさんが気づけないのは仕方のないことです。
さてそんなカラカラの雑巾のような状態でも、ゴミか書類か分からない山をかき分けかき分けお金にたどり着くことがあります。そう、カラッカラと思えた雑巾でも絞れば水が出るといったところです。
そんなお金が出てきた事例を紹介します。
1)まずは家の掃除、これだけでお金が出てくることが。今回は約10万円の小銭が出てきました。100枚しか入らないATMに延々と小銭を入れて入金しました。数えて持ってくれば窓口で入金しますと言われましたがムリです。ちなみにゆうちょなら機械で数えて入金してくれます。
なんとこの間は帯封をした500万円がでてきました!
2)通帳やキャッシュカードの調査は当たり前ですが、今回は古い財形貯蓄の書類が出てきたので問い合わせると残高がありました。
3)確定申告で還付。期限の切れた「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が出てきました。扶養親族のいない方でしたが念のために問い合わせると、これを出していないと所得控除も基礎控除も受けられていないということでした。「扶養親族等」の「等」の中にこれらが入ってるのです!5年分までさかのぼって確定申告できます。これで50万円近くが返ってきます。市・府民税も連動して還付を受けられるはずです。源泉徴収票は再交付、普通徴収で国民健康保険料や介護保険料の納付額の証明がないときは納付済証明書を送ってもらえます。
後見人が源泉徴収票などを見て確定申告の有無に気づくことが大切です。
4)保険料の還付金等の古い書類、これも問い合わせると手続き未了で還付が受けられました。退職から10年たっていましたが退職見舞金の請求文書がでてきました。これも請求書を送って約11万円。
5)使っていない生協などの出資金の解約
6)火災保険に入っていれば台風の損害保険金が下ります。屋根工事等で170万円保険金が下りこれから工事をするところです。古屋ですが取り壊しの困難な連棟なので屋根が直せるのは本当にありがたいです。これ請求しないと一円も入ってきませんから。
7)そして、こちらが払わないといけない請求書、債権回収会社や弁護士事務所からの請求書です。しかし、慌てて払ってはいけません。これらの書類には、いつの債権か、いつの弁済期かが書かれていません。問い合わせるとやはり弁済期から5年以上経過していました。消滅時効援用の通知を送ります。時効援用は良心の抗弁と言われています。もちろん、お金があれば時効消滅していても支払うべきです。しかしすっからからんの場合は、生きていくことが優先されます。
8)不動産、今どきは負動産です。連棟や再建築不可物件、まずはお隣に購入を持ち掛けるのも手です。
9)出張買取。前にリサイクルショップに箱に入った食器や頭からほこりをかぶって絵をもっていったことがありますがガソリン代も出なかったことが。
出張買取も立ち会わないといけないので結構な時間の拘束になりつらいのですが今回は5万円になりました。
クーラーとか業者に外してもらうと一台いくらと掛かりますが、無料で引き取ってくれる業者さんがいます。リサイクル金属は引き取ってくれます。
10)NHK受信料。これも結構な金額を請求されていることが。生活保護受給者や市町村民税非課税で障碍者手帳を持っていれば全額免除になります。いかにも要件に該当していそうな人にもこの制度を教えるどころか、少しでも支払わせるというのは、ほんとどうかと思いますよ。ほかに半額免除も。5年以上前の分は時効消滅も。あと施設入所でテレビ持っていかなければ支払い義務がなくなります。いつからの分から払わなくていいかが腕の見せどころです。N国と間違われたくないですが(^^;)
書けば簡単ですが、通帳一つ後見届出すのもけっこう時間がかかります。上記のようなことはやればきりがないし、しない専門家もいるでしょう。
手を抜くということができないしょうぶんですから困りものです。
どうか、少しは報酬出ますように(^^;)