初めて成年後見人になった時、後見業務や帳簿の書式がどこにもなくてえっ?えっ?となりました。
数年色んな案件をやってきてつくづく思うのは、成年後見というのは、最初と最後がすごく大変だということです。
何年も前から認知症で、身内が疎遠、同居人にも支援が必要なくらい、すっからかん、などという案件では財産調査(負債も)とお金を増やすことがすごく大変なことは前に「被後見人の資産調査」で書きました。
でもコツコツお金を増やしても何千万円になるとかはありえません。ものすごく苦労して不動産を売っても中古車よりも安いとかざらです。そうすると、こんなに大変でしたと資料全部付けて付加報酬の申し立てをしてもたいしてお金が増えてないということで泣きそうなくらいの報酬付与の審判しか出ないのです。
つい先日も、事実上身内がいないということで裁判所の許可を貰って直葬をして焼き場でお骨まで拾ったのに報酬審判書を見て泣きましたよ。死後事務も泣きそうな報酬しか出ません。
とってもかわいいおばあちゃんで好きでしたが、今後もうお骨拾いはしないと心に決めました。焼き場で倒れそうになりましたもの。
といっても、いくら報酬が少なくても財産調査や換金手続きの手を抜くことはできません。ご本人が生きていくためのものですから。
死後事務もやらざるを得ないです。
いつもながら前置き長くなりましたが、要は、最初と最後がすごく大変だけど手を抜くのは絶対だめだから、間の後見業務でいかに合理的に業務をこなすかだと、まあこれ後見やれば皆学ぶことです。
後見業務の帳簿は、基本的には下記の三つの目的のためにつけるものだと考えています。
第一には、適切な後見業務のために
第二には、お金の管理をキチンと間違いなくするために
第三には、裁判所への報告と司法書士の場合はリーガルサポート(LS)の報告、そして相続人や身内から苦情があった場合に備えた証拠の保全に必要な記録を残すために
これをいかに余計な手間を一切かけないで効率的にするかです。
私が考えた方法は
(1)現金は一切預からないこと。現金出納帳をつけなくていいというメリットがありますヽ(^o^)丿
(2)細かいお金は全部立て替えて支払う。これをするとお金をいちいち下ろす手間がなくなりますヽ(^o^)丿
業務日誌と立替金は一枚の紙に書きます。上3分の2が業務日誌で下3分の1を立替金の表にしてます。こうすることによっていつ何のお金を立替えたのか一目瞭然です。立替金を書き忘れたら自腹を切らなくなるのできちんと付ける動機になります。
後見事務報告にこの業務報告書もコピーして付けてます。裁判所は要らないかもしれませんがきっちりやってますアピールです。
年に一回報酬を払い出す際に立替金の精算をします。立替金の精算は立替金精算一覧表というのを作って交通費、郵送料、印紙手数料等項目分けして電卓で足し算します。一括で引き出すのではなく誰が見ても疑念を持たれないように立替金精算一覧表を見ながら交通費、郵送料等科目を分けて引き出して通帳に記録します。
(3)すべての支出を通帳に記録して通帳を帳簿代わりにします。
通帳の記載は貸借が簿記と逆ですが複式簿記の反対科目を書くように支出や入金の明細を書き込みます。例えば施設預け金とか高額介護サービス費とか。
(4)リーガルサポートのバカみたいに細かく項目分けした収支報告は通帳と電卓で直接金額を入力していきます。このとき(3)の通帳の書き込みが役に立ちます。
リーガルサポートの研修で通帳にちゃちゃっと書き込むなんてなにごとか、複式簿記をつけるべきなどという講師(同業者)がいましたが、通帳を帳簿に転記させるとは何事か!何のためにそんな無駄な労力を!です。
リーガルサポートの報告は日々の帳簿を貸借対照表と損益計算書に分けるという考え方です。収支のプラスマイナスの数字が財産の増加あるいは減少の数値とピタッと一致してその差が0になるという仕様になってます。0にならないと元の帳簿が間違ってるか入力を間違ってるかそもそも考え方を間違ってるということです。大きなお世話と思えてなりません。
リーガルサポートの報告形式を考えた同業者は間違いなく簿記の知識がある人です。複式簿記は感動ものくらいよくできているので複式簿記をつけさせたくなる気持ちは分からなくもないですが、いっちゃえば自己満足でしょう。
じつは、わたしリーガルの報告の審査をしてました。時給350円くらいの仕事で死ぬほどつまらなくてつらかったです(;'∀')
あれで横領防止できるでしょうか??日々の支出は見れないことになってますから知恵があれば月2万円くらい延々誤魔化せば誤魔化しとおせるでしょう。でも横領する人は月2万円では満足しないからいずれ発覚するのですが。。
(5)裁判所の誕生月報告とリーガルの半年ごとの報告の時期をキチンと合わせる。わたしはいつも裁判所の報告書を作って続けてリーガルサポートの報告をします。時期を合わせてないと永遠に裁判所の報告とリーガルの報告2回で年3回報告しないといけないことになります。一度合わせると年2回で済みます。
いや~これ以上に合理的に効率よく帳簿付けてる人がいたらぜひ教えてほしいものです。
いやもうめんどくさいから帳簿一切つけてない、資料整理してない、リーガルサポートの報告なんか適当に数字あわせて差額0にするとかはダメですよ。