家庭裁判所から選任されて専門職成年後見人等になるにはリーガルサポートに登録する必要があります。登録にも更新にも研修単位をたくさん取る必要があります。といっても2か月に1回リーガルサポートの会議がありその後半でグループディスカッション形式の研修会が行われ大方の研修単位はまかなえてました。でも今はコロナでずっと中止です。そこでオンデマンド研修(これもコロナで例外的に認められている)を昨日から2倍速で受講しているのですが一講義1000字のレポートが単位取得の要件です。さっき990字くらい書いたとこで突然の来客で何を触ったか消えてしまい泣きながら1000字書き直しました。せっかく書いたからちょこっと手を加えてこのブログにも挙げておきます。
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介護保険とともに2000年に始まった成年後見制度。しかし、介護保険ほど利用も理解も進んでいない。
そこで、成年後見制度の問題点を解決し利用を促進するために、「成年後見制度の利用の促進に関する法律(成年後見制度利用促進法)」が平成28年4月15日に公布、同年5月13日に施行、平成29年3月24日に成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定された。
現状成年後見は、認知症の親の不動産売却で、遺産分割協議でといった必要に迫られて利用される場合がある一方で、地域包括支援センターなどで親が認知症ということで相談したら認知症なら成年後見申し立てが必要と勧められて、実際には必要に迫られていないのにそういうものかと申し立てたというケースも多い。(わたしの知ってる地域包括センターでは電話で問い合わせしてくれる)
そして、申し立ての態様いかんにかかわらず親族からの不満が目に付く。
まず、申し立てに関与した司法書士等の経験知識不足から親族が後見人に選任されると思い込んでしまっていたケースでは、専門職後見人が選任された時点でそんなはずではなかったと専門職後見人に敵愾心を持つことになる。他人が家庭に入り込む不満、親の財布を握られる不満、報酬を支払わなければならない不満、報告してくれないという不満、また何でもしてもらえるという誤解の元何もしてくれないという不満。親族の抗議に後見人が音を上げて辞任したり、訴訟にまで発展するケースもある。
こういった現状の後見制度に対する不満をそのままにして利用促進に走るのでは、ますます理解を得られないのではないかと心配になる。
ひとつは、制度を利用する親族に丁寧に制度の趣旨や現状を説明することで誤解に基づく不満は大部分払しょくされるのではないかと思われる。特に申し立てという入り口の話しではなく専門職後見人が後見業務で何ができ何ができないのかという後見の中身を伝えることが重要である。
特に一部専門職の市民向けの私的な講演会や相談会では、認知症高齢者の為、親族の為と耳障りのいい話をして、実は専門職の仕事の為、食い扶持のために後見の案内・誘致をしているのではないかという疑念がある。後見制度の利用にメリットがない場合は正直に申し立ての必要がないと助言すべきである。
もう一つは面倒な保佐・補助を引き受け社会の理解を得ることが考えられる。
次々商法に引っかかり財産をすべて失ってから後見申し立てがなされるケースがある、この段階では認知症が進んでおり本人から詐欺被害の事実確認をすることができず過去の被害を回復することは困難である。こういったケースでは保佐・補助の段階から専門職後見人が付いて被害を食い止めることが重要で社会的意義もあると思う。
親族が経済的虐待をしているケースも早期に専門職後見人が関与する必要がある。
こういったところから後見制度に対する市民の理解を深めることが、結果的に後見制度の利用促進につながるのではないかと思う。